◆ 『生活保護の通院費緩和』 朝日新聞 平成22年3月3日(水) ◆






精神障害者の場合、知的、身体の障害者に比べて生活保護受給率はかなり高いのです。
なぜかというと長期入院によって家族が経済的援助ができなくなったり、高齢化により関係性が疎遠になることが多かったり、
家から出ざるを得ない状態になり、障害年金のみの生活では成り立たないなどの理由によるものです。
知的身体の場合は比較的最後まで面倒をみなければという意識が強いご家族が多いように感じられます。
それだけに親が死んだららこの子をどうすればという悩みも尽きません。

現在、病院に通院するときに必要な交通費が支給される基準がかなりきつく絞られています。
それは北海道の滝川市で起きた暴力団による2億円もの通院費の詐取事件でした。
その事件後、全国一斉に今まで必要な交通費を支払った領収書と医師の意見書により、
必要と認められたものには支給されていた通院交通費の支給は、ほぼ例外なく認められなくなりました。

実際私が関わっているケースでも足が弱り歩行が困難で公共機関が使えないお年寄りが
やむを得ずタクシーで通院していた人の通院費も認められなくなったのです。
その人の事情と、2億円もの詐取事件の暴力団員と同一に取り扱う厚労省の感覚が理解できませんでした。

もちろん行政の弱みに付け込んだ不正受給は許すわけにはいきません。
北海道のような事件がそこまでのことになるまで、行政が手を打てなかったことが問題なのです。
そんな弱腰での対応が付け込まれるすきを作るのです。福祉を食い物にする輩がはびこっています。

 生活保護は命を守る最後の砦として大切なものです。
行政は助けるべき人はきちんと助け、不正を毅然として排除していく姿勢を持たなければいけません。

(文責・谷本)



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