印刷製本業 見学研修 IN 兵庫県
平成21年6月18、19日


今年4月1日から、地域活動支援センターU型に移行した、ゆっくりクラブ。
新しい作業として、印刷製本業を柱に作業を展開していきます。
その店舗名は、
「 いんさつの咲々屋 」

店舗名は、86の公募の中から選ばれました。「仕事をサクサクやって、いんさつの花を咲かせましょう」という意味が込められています。また、その公募の中から、ロゴのアイディアも選ばせて頂きました。ゆっくりクラブの「ゆっくり」から「タートル」=「かめ」を連想した応募です。今後「いんさつの咲々屋」は「かめ」のロゴで、印刷屋を始めたいと思っています。


開店は正確には未定です。
取り合えすは店舗名も決まり、印刷の注文も少ないですが、少しずつ外枠は出来上がりつつあります。
しかし、肝心の中身が全く詰まっていない状態で、印刷を請け負っているので、てんやわんやです。
見本となるところはないのか、インターネットで印刷業をしている作業所はないのかと探していると、
「まちの印刷屋さん」というものを見つけました。

兵庫県で印刷業を行っている作業所が6つ載っていました。

松山にある作業所の中で初めて印刷業をしようとしているわけで・・・何もかも0からの出発。
そこで、今回ゆっくりクラブ スタッフ小倉が兵庫県で印刷製本作業をしているところへ
見学出張に行くことになりました。

6月18、19日、「いんさつの咲々屋」立ち上げのため1泊2日の研修。
2日で、6つの作業所、印刷所を見学させて頂きました。
UPが大変遅くなってしまいましたが、見学させて頂いたところをこの場を借りて紹介させて頂きます。


■ NPO法人サプライズ 障害者地域活動支援センター びっくり屋

  
 1997年4月に重度障害者が「生きる場」として作業所びっくり屋を開設、当事者が中心となって活動をしています。2008年3月にNPO法人サプライズを設立し障害者小規模作業所びっくり屋となりました。同年、10月に障害者地域活動支援センターへ移行し現在に至ります。

 地域で当たり前のように暮らしていくことを障害者とともに社会に呼びかけ、軽印刷、物品販売「びっくり市」と称しての鉢花販売、ルイボスティー(健康茶)の販売を行っています。また、昨年6月よりパッチワークも始めました。印刷業は主に男性メンバーが行い、女性メンバーは主にパッチワークを行っているそうです。

<お店の様子>
<パソコン作業>
<びっくり屋商品>
 
 伊丹空港から、車で10分程度の場所にありました。近くには幼稚園や、小学校。一番最初にお邪魔させて頂いたのが、びっくり屋です。3名のスタッフの方々が出迎えてくださりました。びっくり屋にお邪魔して、一番びっくりしたのが、出して下さったお茶です。
私の好きなルイボスティー。ちょっと運命を感じてしまいました。

 印刷は、軽印刷を行っており、年賀状や名刺はメンバーがデザインしたものをカタログにし、見本を作っていました。スタッフの繋がりから、だんだんと口コミでの印刷業をしていることが広がっていき、常連の方の注文が多いそうです。

 やりたいことを自由に行うことをモットーにしているとのことで、その雰囲気が伝わってきました。

■ NPO法人ICCC どりー夢
<どりー夢>
<どりー夢地活>
<どりー夢印刷作業場>
<どりー夢作業風景>

 どりー夢さんは、どんまいと同じく精神しょうがいを抱える方々の生活支援をおこなっている団体です。内容としては下記のような事業を行っています。

<特定非営利活動法人ICCC>
 ・いたみコミュニティケアセンター(相談事業所)
  市からの委託を受けてこころの病気にかかわる相談を受けています
 ・どりー夢(地域活動支援センター)
  居場所の提供がメインで、調理等さまざまなプログラムも提供しています
 ・どりー夢共同作業所(就労継続支援B型)
  4月から地活の内職部門を就労継続支援B型に事業移行しました
  内職作業・印刷屋の2本柱で運営しています
 以上の3事業所がワンフロア内に併設されていて、そこが私の見学にお邪魔した場所です。地活T型への移行を見据え、地活と相談事業でSST、ピアサポート、調理、等さまざまなプログラムを提供しています。

その他、
 ・アトリエどりー夢(地域活動支援センター)
  お弁当作りなどをしています。
 ・カーサ デ どりー夢(GH・CH)
  市営住宅を利用して運営しているグループホームです
 ・あじさいの会(家族会)

 びっくり屋から徒歩20分程。
 印刷作業はメンバー4名を中心に行っているそうです。名刺を頂き最初に詳しい話を聞かせて頂いた方は、メンバーさんでした。打ち合わせから納品まですべてをメンバーで行えるほど、みなさん自分の仕事として取り組まれている姿勢が感じられました。

 丁度私が伺った時には、1部屋一面に封筒が並べられていて、インクの乾燥をしているところでした。印刷の中心となっているのが、PTAの会報だそうです。定期的な受注があるため、とても安定した仕事です。しかし、注文が重なった時はメンバーが4名しかいないため、大忙しとのことでした。

 また、印刷作業の中で一番注意していることは「検品」だそうです。何百枚も刷り終わった後で、微妙な線が入っていたり、文字の打ち間違いがあったりすることがあり、大きなロスとなってしまいます。
印刷作業を始めるにあたってとてもいいアドバイスが頂けた見学となりました。

■ 社会福祉法人 新生会 新生会作業所
<新生会印刷所>

 新生会作業所さんは、印刷業に関し40年の歴史があり、全てが本格的な印刷工場でした。事前には知っていたものの、見学させて頂きさらに驚きました。今回の見学では、印刷業の規模が違い過ぎたために、印刷に関しては本当に見学させて頂いた形となりました。

 新生会作業所さんは、さまざまな取り組みをされており、見学はそのお話が中心となりました。お話を伺っていると関心と感心、が湧きました。何が必要で、どうやったら利益となるのか、経営と運営面をかなり詳しく説明頂き、是非参考にしたいと感じました。

 また、ご案内頂いたスタッフさんは、仕事中や廊下ですれ違うメンバーや、スタッフに声をかけ、とてもアットホームでした。見学後、駅の前まで見送って頂いたのですが、街ゆくスタッフ、メンバーにも声をかけていました。

 施設の規模が大きくなるほど、人数が増えるほど、1人1人とのコミュニケーションはおろそかになりがちになってしまう。基本的なことをしっかり行い、なおかつそれが自然である新生会さん。見習わなければと本当に思います。

<作業室の様子>
<作業室の様子>
<作業室の様子>

■ NPO法人姫路自立生活支援センター  つばさ工房
<つばさ工房入口>
<つばさ工房商店街>

 つばさ工房さんは、商店街の中にありました。つばさ工房はそこだよっと魚屋さんのおじさんが教えてくれました。まさに地域の中で、地域の人たちと、という言葉が本当に当てはまります。
 印刷は、レストランのメニュー表をラミネートしたり、缶バッチ、絵葉書、オリジナルTシャツ等、幅広くやっておられます。

 メンバーさんのやりたいことと、出来ることが合致して、それが仕事となります。メンバーの1人にカメラマンがおられました。通所された日は、姫路城の写真を撮りに行くことが仕事だそうです。見せて頂いた写真はその方ならではの視線で撮られていました。
 可愛いな、買いたいなっと思う商品ばかりで、見学に行ったつもりが、買い物に来た感覚になっていました。

 こういった欲しいな、印刷を頼みたいなと、思えるような印刷作業を展開できたらなと思いました。また、メンバー一人ひとりが、これは自分の仕事だと自覚し積極的に取り組める役割、仕事を見つけることが大切だと思った見学となりました。
<つばさ工房商品>
<つばさ工房の様子>

■ NPO法人 明石あおぞら会  あおぞら作業所

 あおぞら作業所さんは、明石土山病院の敷地内にありました。
 印刷作業は病院の印刷物を中心に名刺や診察券、書類やチラシなどを行っています。その他、ポスティングも行っており、幅広く印刷の作業をされていました。

 一番勉強になったのは、印刷機器の使い方をメンバーにどう教えているかということでした。リソグラフの前に、「印刷機の変え方」「インク、マスターの変え方」という紙が貼ってあり、機械には、その手順通り「@カバーをあける」「A緑のレバーを引いてあける」・・・などシールが貼ってあり、それを見たら誰でも操作が出来るように工夫されていました。

 スタッフが付きっきりで作業を行うのではなく、メンバーに出来るだけ全てを任し、どうしても出来ないこと、分からないことがあるときに、サポートをするといった仕組みです。また、営業の行い方、顧客の取り方等、どこにどんなアプローチをしていくと仕事を頂けるのか、など詳しくお話頂きました。日々の努力があってこそ、仕事があるのだと感じました。
 持ち帰ってすぐにでも実践できることを多く教えて下さいました。
<インクの交換>
<使い方マニュアル>
<作業の様子>

■ NPO法人ほのぼの ほのぼの作業所

 ほのぼの作業所さんは、駅から徒歩10分程度の場所にありました。
 知的しょうがいのある方々の日中活動の場を提供しています。メインはクリーニングの取り次ぎ店をしており、通りすがりの人が気軽に覗けるような雰囲気でした。
 クリーニングの他に、内職、印刷作業を行っています。

 私がお邪魔させて頂いた時は、ちょうど低料第3種郵便物の発効に向けた封書入れの作業と、商店街の七夕祭りに向けた七夕飾りを作っていました。
 最後に見学させて頂いたほのぼのさん。かなり長居をさせて頂きました。
 引越しをする前のどんまいクラブの建物とよく似ていて、とても居心地が良かったです。

 印刷の作業は主にはスタッフが行うことが多いとのことですが、封入作業等メンバーも一生懸命やっていました。また、固定客の方との、繋がりを大切にされていました。
 印刷の件以外にも、私にとって、とても勉強になるお話しが出来たように思います。

 お話を聞きながら、もっと経験を積んでお話をしたいと強く感じました。
<作業の様子>
<商品紹介>

■ 出張を終えて
 私はこの2日間でたくさんの方に出会いました。
 バタバタしたスケジュールの中で、みなさん親切に迎えて下さり感謝の気持ちでいっぱいです。
 終えてみれば、充実感とやり残した感が入り混じって、もっともっと1つ1つの場所に長く居たかったと強く思います。言葉や報告では、表せないほど出張はとても良い経験になり、充実した時間を過ごすことが出来ました。

 しかし、1つ思うことは、私が専門職としての経験や、知識が乏しいために、深い話をさほど出来なかったように思います。印刷に関しても同じです。
 私以外の他のスタッフが行っていたら、もっともっと深くて濃いお互いにプラスになる時間になったかもしれない。もっと色んな経験を積んでからお会いしたかったな、とも思いました。

 今回の出張で感じたことを忘れないよう、また見学で教わったことなどを今後の作業展開や業務の中で生かしていくよう日々心がけていきたいと思います。

 びっくり屋の皆さん、どりー夢さんの皆さん、新生会作業所さんの皆さん、
 つばさ工房の皆さん、あおぞら作業所さんの皆さん、ほのぼの作業所さんの皆さん、

 大変遅くなりましたが、本当に心からお礼申し上げます。ありがとうございました!!

TOPに戻る